症例ブログ

富山市ことう動物病院の軟部外科 症例ブログです

犬の膣ポリープ

今回は犬の膣ポリープについてです。

 

膣ポリープは未避妊の雌に発生しやすく、陰部より急にポリープが露出することで発見することが多いです。

無症状のことも多いですが排尿障害がでることもあり、今回の症例は急性の出血があり手術することとなりました。

 

下の写真は毛刈り、消毒を行ったところです。会陰部がかなり膨隆しているのがわかります。



手術開始です。会陰切開により患部までアプローチします。



ポリープを把持します。



周りの組織から分離を進めていきます。



 

切除後です。膨隆部が無くなりすっきりしました。



同時に避妊手術を施術することで、再発リスクが落とせます。

この子も術後再発もなく経過良好です。

(2020年8月14日)

犬の会陰ヘルニア

今回は犬の会陰ヘルニアについてです。

 

会陰ヘルニアとは肛門周囲の会陰部の筋肉が萎縮していき、そこから骨盤腔内の臓器(結腸、膀胱、前立腺など)が脱出することをいいます。

男性ホルモンの影響で会陰部の筋萎縮が起きるため、未去勢の雄に多い疾患です。症状は排便時のしぶり、排尿障害などがあります。

 

症例は12歳、10kgの未去勢の雑種犬でした。

写真は術前の写真です。肛門の右側が腫れているのがわかります。この症例は結腸が肛門右側に変移し、排便障害がありました。

 

ヘルニア内容物を骨盤腔内に整復し、ヘルニアを起こしていた空間にポリプロピレンのメッシュを設置しています。再発率を減らすため、同時に去勢手術もおこないました。

 

術後写真です。ヘルニアが整復され肛門の位置が正常になっています。

 

術後は排便障害が無くなり経過良好です。

(2020年6月22日)

 

猫の腸閉塞に対する腸切開術

猫の異物の腸閉塞のお話です。

若い猫で急性の嘔吐の場合、異物による腸閉塞の可能性があります。

この子も急性嘔吐の症状で、エコー検査にて小腸領域にて閉塞所見を認め、即日手術となりました。

 

開腹

病変部位を探索

小腸の閉塞部位

切開して異物摘出

異物は毛玉でした

切開部位の縫合

縫合完了

縫合部のリークチェック

問題なさそうです

術後、早期に元気になり3日で退院となりました。

 

猫の会陰尿道造瘻術

今回は猫の会陰尿道造瘻術(ぞうろうじゅつ)です。

 

猫は泌尿器系のトラブルが多いですが、特に雄猫の場合、陰茎の尿道内に結石が詰まってしまうことが非常に多いです。

猫の結石は尿のpHによって尿中ミネラルが結晶化することで産生され、食餌の影響を受けていることがほとんどです。

結石が尿道に詰まってしまった場合、膀胱に貯留した尿の出口が塞がってしまっているため、猫は何度もトイレに行って排尿ポーズをとりますが尿が出ないという症状になります。

閉塞が解消されないと腎臓に負担がかかってしまい、急性腎不全から尿毒症となり命にかかわる状態となってしまいます。

 

治療法としては、陰茎からカテーテルを挿入して閉塞を解除して尿路を確保することが必要となります。

大体の場合、数日の尿道カテーテル留置と点滴・投薬により良好な経過をとりますが、

何度も再発を繰り返してしまう場合は外科手術の適応となります。

術式を会陰尿道造瘻術といいます。

 

術前の肛門、会陰の状態です。毛刈りをして、消毒します。

 

包皮周囲を切開し、陰茎を牽引します。

 

目的の位置まで陰茎を牽引できたら背側を切開して陰茎を広げます。

 

広げた陰茎粘膜と皮膚を縫合して会陰部に新たな尿道を形成していきます。

写真は尿道口にカテーテルを挿入してあります。

 

術後2ヶ月ほどの写真です。

傷口も問題なく排尿状態も良好です。





 

 

(2020年6月22日)

猫の後大静脈後尿管に対する尿管膀胱吻合術

今回は猫の後大静脈後尿管、尿管結石に対する尿管膀胱新吻合術についてです。

症例は腎盂の拡張がみられ、無尿状態で急性腎不全の状態でした。尿管閉塞を疑い試験開腹を行いました。

 

開腹した写真です。右が頭側になります。通常、尿管は後大静脈の腹側を走行していますが、この猫の尿管(右側)は後大静脈の背側を走行していました。これを後大静脈後尿管といい、先天的な血管の走行異常ということで珍しい症例です。



尿管を持ち上げているところです。通常は尿管の腹側に引っかかる構造物はありませんが、この猫は後大静脈が尿管の腹側を走行していることがわかります。





今回は右尿管を切断し、後大静脈の腹側を通して膀胱に繋ぐという、尿管膀胱吻合術という術式で対応しました。下の写真は尿管を膀胱に転移して縫い付けたところです。



尿管の近位に尿管結石が存在したため、尿管切開も施術しています。



膀胱の内部からも尿管を縫合して固定しています。

 

術後数日は尿が出ない日が続きましたが、その後尿が出始め腎数値は正常に戻りました。術後半年以上経った現在も腎数値は正常値をキープし元気でいてくれています。

(2020年8月15日)